海外挑戦で考え方が変わった男

今季リーグ戦4試合でFC大阪を満了となった藤田は11日午前の部に参加し、紅白戦では右ウィングで出場。攻守両面に存在感を出そうとサイドを往復しながら、局面に顔を出すアグレッシブなプレーを見せた。「状況的には選手として崖っぷちの状態。何がなんでも死にものぐるいで、このチャンスをつかまなければいけない強い気持ちでやりました」と無我夢中でボールを追いかけた。

今季は韓国で武者修行をした藤田

今年7月に韓国3部抱川シチズンFCへ期限付き移籍で加入し、リーグ戦5試合に出場した。チームは15位で4部チームとの入れ替え戦に回るも、後半頭から出場して3-1の勝利でチームの3部残留に大きく貢献した。初の海外挑戦と韓国での経験が大きな財産となっている。

「(チームに)通訳がいなかったので、その中で監督が何を求めているのかをより考えなければいけなかった。チームとして求められていることや、自分が監督に何を求められているかをより意識するようになりました。自分は狭い考え方でプレーしていたので、韓国に行ってそれが広がった。チャンスがあれば、どんどん違う国にもチャレンジしてみたいですね」と海外にも視野を向けた。

今回初参加となったトライアウトではこれまで関わりがなかった選手たちと急造チームを組んだ。豊富な運動量をベースに攻守の局面に顔を出して、気の利いたサポートを得意とする藤田にとって連係の質は自身のプレー内容に直結する。急造チームでは難しさもあったが、積極的に声がけをして自身の強みを出そうと奮闘した。

豊富な運動量でボールホルダーにプレッシャーをかける藤田

「初めての経験だったので、ほとんど知らない選手でしたからコミュニケーションを増やしました。その中で自分の特徴を出さなければいけないとか、いろいろな難しさがあって少し緊張してプレーしていました」と胸中を明かすも、会場には幼馴染の小川の姿があった。「(紅白戦で)同サイドで右サイドハーフとサイドバックで組めたので、試合前からも喋りながらロッカールームでも喋りました。一緒にプレーするのは中学以来でしたね」と明かし、川崎アカデミーで共にプレーした仲間と再び共闘した。

紅白戦で直接フリーキックを獲得すると、藤田はプレースキッカーを名乗り出た。ただ小川や他のチームメイトも名乗り出たため、じゃんけんでキッカーを決めることに。ただ藤田も小川もじゃんけんに敗れ、「自分が打って決めたいという気持ちでした」とスカウトに向けたアピールをする絶好の機会を逃してしまった。

右サイドで小川とともに奮戦するも、何度かサイド突破を許すなど苦しい場面もあった。それでも笛がなるまで積極性を見せて、新天地に向けたアピールを続けた。

健闘をたたえ合った藤田(右)と小川

「チャンスがもしもあるのであればきょうみたいな難しい状況を経験できたので、この経験を生かして強い気持ちでプレーできたらいいと思います」と吉報を待つのみとなった藤田。海外挑戦やこのトライアウトで得た経験などを糧にして、新天地で躍動してほしい。